いとうのいぢ絵の美麗なキャラクターが、次々に残酷に散っていく色んな意味で伝説のホラー作「Another(アナザー)」。
ミステリー作家・綾辻行人さんの小説が原作ということで、ミステリー要素を含めたホラー・サスペンス作として毎話緊張感のあるアニメでした。
今回は、そんなAnotherの感想や評価をがっつり語っていきます。ネタバレは記事の後半からなので、未視聴の人も安心してチェックしてみてください。
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アニメ「Another」の評価
Anotherの最大の魅力は、その世界観や設定です。緻密に作られたこのAnotherの舞台はむっちゃ緊張感があります。
全体的に1つの作品として凄く質が高い見応えのある作品だったと思います。そして、ミステリー要素があるんで、2度・3度見ても新しい発見がありますね。
ボク個人の評価になりますが、かなり高評価です。好きな作品ですね。
アニメ「Another」はどこが面白い?見所や魅力を解説!
見所①:ルールやシステムに凝ったホラーワールド
Anotherは、残酷な描写があるホラー・サスペンスというジャンルなんで、クラスメイトが次々と死んでいきます。
ただ、その「死」には条件があります。明確にルールやシステムが存在していて、これが後半のミステリー要素を面白くしてくれます。
ホラーとしての舞台設定が緻密に作られているので、凄く細かい部分まで楽しめるアニメになってますね。
見所②:美麗なキャラクターたちの結末
Anotherといえば、いとうのいぢさん絵の美麗なキャラクターたち。
もうビジュアルだけでもめちゃくちゃ好みなんですが、そんなクラスメイトたちには悲劇が訪れます…。
残酷な世界で彼ら彼女らがどうなるのか?その行く末は大きな見所ですね。
【ネタバレ】アニメ「Another」の感想
「Another」視聴。2012年の放送当時も毎話楽しめたアニメだけど、今見てもやっぱ良い。
ホラーの中にミステリー要素があって、美麗なキャラが脈絡もなく死んでいく異常さはユニーク。
終盤の謎明かしも、脳がパッと発火して「マジか…」って思えるものだった。
ホラー系アニメの傑作の1つ。— 開拓ぽんず (@kaitakuponzu) 2019年4月28日
ここから先はがっつりネタバレを含む感想を書いていくので、まだ未視聴の人は回れ右です。Anotherはネタバレを見たらせっかくの驚きが台無しですからね…。
まだ見てない人はアニメをチェックです。
では始めますね。
今回、本記事を書くにあたって、改めてAnotherを見直しました。 2012年にリアルタイムで視聴していた際は、あまりの面白さに原作を買っちゃったほどハマった作品です。
とはいえ、それから年月も経って良い感じにストーリーを忘れていました。改めてAnotherを見て思ったのはやっぱり面白い。
見崎鳴にフォーカスされた前半はホラーの良さたっぷり
まず第1話の冒頭から、26年前にあった「人気者だったミサキが死んだことをクラスメイトが直視できず、生きているものとして扱った」という昔話が、誰かの噂話のように語られる。
不安を煽るような映像、音楽、語りから始まるこの冒頭からアリプロさんのOPにかけて、すでに緊張感を感じさせます。
さて、そんなホラー独特の不安感を抱きながらストーリーが始まるわけですが、まず驚いたのはそのビジュアル。特に、女性陣のキャラクターデザインはグッときました!
ヒロインの見崎鳴はもちろん、ツインテ美少女の赤沢さんに、超美人副担任の三神先生。どんよりとした不安感のある雰囲気だからこそ、キャラクターの美しさに心を奪われましたね。
1話~5話あたりまでの前半では、見崎がいるのかいないのか?まるで死を運ぶような不吉な存在として描かれました。
だって初登場が古びた病院のエレベーターの中。眼帯をして、病院の地下の奥に人形を持って歩いていく彼女は不気味でしたよね。
そして、前半といえば3話の桜木さん。階段からすべって傘の先端が喉にぶっ刺さるというえげつない死に方をしました。これ、すでに1回見たはずなのに軽く衝撃を受けました。そうだ、Anotherってこうだ。これをやるんだと。
さらに4話で明かされたのは、桜木さんが死ぬ少し前に彼女の母も交通事故で亡くなったということ。母親の交通事故の報せを聞いて飛び出して娘も死んでしまう。これをやるのがAnotherなんですよね。
しかも4話では、主人公の恒一と親しくしていた看護婦の水野沙苗さんが、エレベーターの故障で事故死するというこれまだ残酷な死に方に…。
5話では高林くんが見崎やクラスの現象のことを話そうとした瞬間に心臓発作で死んでしまうという展開に。
作画が良いのが逆に辛い。
ここまでで死んでしまった3人はいずれも見崎に関わった途端に亡くなっていました(桜木さんは見崎を避けようとわざわざ遠い方の階段を選んだ。看護婦さんは見崎のことを弟に聞いた。高林くんは見崎のことを恒一に話そうとした)。
見崎には何かある。
そう思わされた視聴者も多かったと思います。
恒一が見崎に積極的に関わったことが原因で、恒一はクラスで無視されるようになります。
ただ、これがかえって見崎が現実に人として存在していると裏付けることになりました。言ってしまえば見崎はミスリードですね。
そして、これが物語のターニングポイントとなり、3年3組で起こっている現象が見崎の口から語られます。
死んだ人間が1人クラスの一員として紛れ込むようになり、4月から翌年3月までの間、毎月3年3組の関係者が死亡する。クラスの誰かや関係者が死なないようする対処法は、誰か1人を「いないもの」として扱い、3年3組の人数を本来の数に戻す必要がある。
この「Another世界のルール」が新たに登場したことで、ただのホラーとは一線を画す物語へと変化します。
死者探しと災厄対策が始まり「謎解き」が軸に
物語の前半までは「見崎の正体」に興味を引きつけられました。しかし、ここから「誰が紛れ込んだ死者なのか?」という一種の犯人探しのようなミステリーに。
ところが、Anotherルールでは、記録の改竄と記憶の改変があります。この反則的なルールによって、誰が死者なのか?というのを作中の手掛かりだけで推理するのはほぼ不可能なものになってるのがユニークですね。
こうして次々に3年3組が死んでいく災厄が始まったことで、それを未然に防ぐ「いないもの」システムは解消され、恒一と見崎はクラスメイトと接することができるようになります。
ストーリーはどんどん進んでいき、恒一は叔母の怜子から「15年前の8月に災厄が止まった」という情報を得ます。これが1つの希望となりました。
そして、クラスメイトの望月の異母姉が務める喫茶店の常連が「災厄を止める手掛かりを残した」と話していたという情報を得て、恒一はクラスメイトたちと行動を起こします。
誰が死者なのか?そして、この現象をどうやって止めるのか?このキーポイントにガクンとギアチェンジしていきます。
色んな意味で衝撃の水着回第8話
恐らく、Anotherに水着回があると予想できた人は少ないと思います。
そして、まさかあれほど絵的に素晴らしい水着回だと誰が予測できたか!
夜見山市を出れば災厄は回避できる…というルールがある中で、市外に車で出るシーンなんかは緊張感がありました。タンクローリーが横を通りますからね。Anotherなら死にかねない…。
というわけで、市外にいる松永に会いに行きますが、これが予想外水着回なんですよね。
叔母の怜子、赤沢さん、赤沢さんの友人でクラスメイトの杉浦多佳子の水着、スク水見崎が拝める貴重な回でした。海で楽しそうに遊ぶ面々は、今作では貴重なリフレッシュタイムに。
でも油断はできないんだなぁこれが…。
まさかのクラスメイト中尾が、海で溺れたあげくボートに轢かれてバラバラになっちゃうインパクトの強い展開に(死因は自宅で頭を打ったことによる脳挫傷)。
ただ、彼の犠牲が引き金で松永が「教室に…」と手掛かりになるフレーズを発することになったので中尾くんは最後に大仕事をやり遂げてくれました。
Anotherワールドでは家に引きこもっていても死ぬ
松永が教室に残したカセットテープをゲットした恒一たちですが、その裏ではまたもや惨劇が。
演劇部に所属するクラスメイトの綾野彩と小椋由美。綾野は両親とともに市外へ脱出を試みますが、家族ごと崖下へ転落。小椋に関しては、自宅に大型の重機が突っ込み、引きこもりの兄が死んでしまう事態に…。
逃げても引きこもっても死ぬってなんだこの世界…。
夜見山市を脱出すれば死なないよって言いつつ、脱出する前に殺すの詐欺がキツすぎません?
地獄の合宿ってよく聞くけど、これはマジで地獄
よく部活の合宿とかで「地獄の合宿だった!」みたいな話って結構あるあるですよね。
でもね、ボク思うのはね、生きて帰れるだけ全然幸せ。Anotherなら死んでる。
そう。Anotherの合宿はほんとに地獄でした。この合宿先もまた良い感じに惨劇が起こりそうな館なんですよね。
合宿所で松永が残したカセットテープを再生し、死者を死に帰すことで災厄は止まることを知った恒一たち。
ところが…この「死者を死に帰す」という指南が引き金となって疑心暗鬼のバトルロワイヤルが開幕。
管理人のおばさんが突如狂乱し、旦那を殺害し食堂に火を付け、生徒を次々に殺害するサイコキラーに変身します。
さらに、杉浦多佳子が「見崎こそ死者である」と放送で告げたことでもうカオス。生徒の中からもサイコキラーが次々と現れる始末。
合宿所での死に様として伝説だったのは、やっぱり兄が死んだ小椋さん。見崎を殺そうとして窓から転落し、首ブリッジで死ぬ伝説を生み出してくれました。
彼女には悪いけど首ブリッジはあかんてギャグギャグ。申し訳ないけど笑っちゃいました。あれ考えた人お尻ぺんぺんものですよー?
見崎を殺しに来た杉浦多佳子が、まるで触手のように絡まるケーブルで窒息死するのもなかなかで…。
そして極めつけは赤沢さんvs見崎の決戦。
落雷で割れたガラスが赤沢さんに突き刺さるという結末。個人的に好きだった赤沢さんが死んだのは悲しい…が、狂ってしまった彼女を見続けるのもキツイ。
こうして主要人物が各地で殺し合いに巻き込まれる中、モブクラスメイトはなんの脈絡もなく死んでいきます。
そんな地獄絵図のトリを務めたのは、最大の謎であった「死者が誰なのか?」というポイント。
見崎の左目には死者の色が見える能力があり、彼女は死者が誰なのか分かり、死者を殺しに行く…。
死者は誰―?
瓦礫の下から這い出てきたその人物は、なんと三神先生だった。というか、三神先生=恒一の叔母・怜子という驚きの謎明かし。
ここで全ての伏線が集約します。
「1年半前」という伏線から始まる様々な伏線を思い返すと、怜子さんが死者だったとすれば…実はヒントはかなりばらまかれていたわけですね(ぜひもう1回見て伏線を確認して欲しい)。
三神先生=怜子さんっていう叙述トリックはほんと凄い…。なんかもう脳がパッて発火するような「なるほど…」でした。
というか、どっちも個人的に好きなキャラなのに、2人が実は同一人物でしかも死者ってどんなダブルパンチなんだって感じですよ…。死者だから死に帰さなくちゃいけないし…。あぁ辛い。
「誰が死者なのか?」という謎を解き明かす価値のある謎にした点と、驚きを増幅させる演出を組み込んでいたストーリーはむちゃくちゃ面白いですね。
驚きを演出するためには、その死者が重要人物である必要があります。どうでもいいキャラが死者だったら驚きは薄いですからね。
そして、「死者は3年3組のクラスメイトか担当する教師」というルールもありますから、死者は限られてくるわけです。
にもかかわらず三神先生=怜子さんというトリックを用意することで、巧みに2つの条件を満たし、意外な驚きを与えてくれました。もう感動ですよね~!
アニメ「Another」の総評・感想まとめ
改めてAnotherの評価をお伝えしますね。
Anotherの特徴は、やっぱり「現象」の仕組みを軸にした世界観や設定ですね。キャラクターの見た目はかなりタイプなんですけど、やっぱりこの作品の軸は「現象」。
そもそもこの「現象」自体、誰かの悪意が原因ではないというのがミソで、もはやだたのシステムなんですよね。
3年3組はその現象の「場」であり、街があって学校があって生徒がいてそんなありふれた場所でありながら、クローズド・サークルのように別世界に隔離されたような空間。
生徒や先生はそこに入ってしまっただけのキャラクター。分かりやすい「敵」がいるわけじゃないから、根本的な解決が難しい。現実的には対処するしかない。だから主人公は、根本的な解決を目指すような行動的なキャラクターじゃなくて、視聴者が感情移入するためのプレイヤーのような立ち位置でした。
これがAnotherの面白さでした。
「3年3組」というAnotherワールドに入ったしまった者たちの悲劇。それを描いた刺激的な娯楽作品だったと思います。妙にキャラクターデザインが良いのがニクいなぁ。
ちなみに、全話見た後で改めて1話の冒頭をチェックしてみてください。あの冒頭は実は本作の印象的なシーンの背景を走馬灯のように描いてます。1話の冒頭にそれがあるのも「現象」というこれからも続くシステムを強く印象付けてますね。
というわけで今回はこれにて!
ちょっと普段より安全に注意してくださいね…。