「コードギアス 亡国のアキト」の評価&感想!複雑な点を解説【全章ネタバレ有】

人気ロボットアニメコードギアス 反逆のルルーシュのスピンオフ作品である「亡国のアキト」

ヨーロッパ方面の国家「ユーロピア共和国連合(E.U.)」と、「ユーロ・ブリタニア」との戦いを描いた物語です。

ナイトメアフレーム(KMF)による戦闘シーンCGとなっている点や、ギアスを巡る新しい設定の登場、「R2」の続編「復活のルルーシュ」にも関わってきそうな登場人物など、スピンオフとはいえ魅力溢れる作品になっていると思います。

今回は、そんな「亡国のアキト」の評価と全章(5話)のあらすじ、感想を中心にまとめ、分かりにくい点を解説しました。

それでは早速、「亡国のアキト」の世界に踏み込んでいきましょう!

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アニメ「コードギアス 亡国のアキト」の評価は?

コードギアス亡国のアキト評価

「反逆のルルーシュ」と世界観や設定を引き継いでいる作品なので、本編を視聴済みの方であればすんなり作品に入っていけます。

「亡国のアキト」の最大の魅力は、作画のクオリティー!

キャラの作画の良さはもちろん、なんといってもナイトメアフレーム(メカ)の戦闘シーンがピカイチです。CGを使った戦闘シーンがカッコ良すぎ。この戦闘シーンだけでも見る価値がありますね。他にも、細かい部分の完成度が凄く高い!

「亡国のアキト」は全5話(約50分×5話)という長さということもあり、単純な面白さやストーリーは「反逆のルルーシュ」には若干劣ります。

ただ、短いながらも世界観やギアスなどの設定も随所で光っていて、凄く見応えがある作品に仕上がっているので、全く飽きること無く作品にのめり込めますね!

「反逆のルルーシュ」を視聴済みで、「亡国のアキト」を見ていない人は見る価値のある作品だと思います。

ざっくりと評価と魅力を語りましたが、こっから先はがっつりネタバレしていくので、亡国のアキトをまだ見てない人は注意!

ではでは、、、

「コードギアス 亡国のアキト」の背景

「亡国のアキト」の時系列と世界観

まず時系列についてですが、「反逆のルルーシュ(第1期)」と「R2(第2期)」の間に位置しているのが「亡国のアキト」です。

つまり、1期→亡国のアキト→2期、という時系列ですね。コードギアスシリーズの時系列・順番としては中間に位置してます。

しかも、1期後のルルーシュ&スザクも登場し、最終章の最後では2期に繋がる展開も用意されています。

1期も2期もすでに見ている人であれば、「そう繋がるのか!」と思えますし、まだ1期しか見てないよって人でも、すんなり2期に入っていけるはずです。

世界観に関してもおさらいしておきましょう。

皇暦2010年8月10日 、世界唯一の超大国神聖ブリタニア帝国は日本と地下資源サクラダイトを巡って対立し宣戦布告、日本に侵攻。

日本は植民地となり、ブリタニアによって「エリア11」、日本人は「イレヴン」と呼称され、7年経った現在、ブリタニアは「ナイトメアフレーム(KMF)」により世界の3分の1を支配下に収めている…というのが1期の世界観でした。

これは「亡国のアキト」でも同じです。

今回舞台となる「ユーロピア共和国連合(E.U.)」と「ユーロ・ブリタニア」の戦いにおいても、旧日本人「イレヴン」という存在が大きく影響します。

ユーロピア共和国連合(E.U.)の現状

数年前より始まった神聖ブリタニア帝国との戦いは長期化し、ユーロ・ブリタニアに対しE.U.軍は決定的な反撃をすることができず、じわじわとその版図を狭めていました。

民主主義であるE.U.の政治は、選挙で選ばれる「四十人委員会」のメンバーによって行われています。

ただ、この政治家達は自らの選挙の当落ばかりを重視し、世論の反発を恐れ大衆迎合的な政策しか選択しません。

戦争でE.U.軍の兵士が死ねば、当然世論は反発します。それを避けたい政治家達は、正規の国民にカウントされない旧日本人「イレヴン」の命で埋め合わせすることにしました。

それが主人公たちが所属する「wZERO」部隊です。

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「コードギアス 亡国のアキト」の感想


「亡国のアキト」は、「反逆のルルーシュ」のスピンオフという位置付けですが、個人的には別の作品として見る方が楽しめると思います。

「反逆のルルーシュ」と言えば、ルルーシュが最強国家であるブリタニアを相手に、0から組織を作り、妹の未来のためにあらゆる犠牲を払って、知略・戦略の全てを駆使して戦うストーリーが大きな魅力です。

圧倒的に不利な状況から戦略によって勝利を収めていく展開は痛快ですし、大事な人を失いながら絶望を前にしながらも、「ゼロ」を演じて突き進んでいく姿には誰もが心を動かされたのではないでしょうか。

でも「亡国のアキト」にはこういった「反逆のルルーシュ」にあった面白さはありません。まぁ、登場人物も舞台も違うので当然といえば当然なのですが…。

国を亡くした少年が国を手に入れる物語

「亡国のアキト」は、国も家族も亡くした1人の少年が、絶望に狂った兄を救い、新たな家族・国を築いていく物語です。

アキトは当初、他者と距離を置き、ギアスの悪影響もあり冷酷さを感じさせる人物でした。

ですが、兄に一族を皆殺しにされ、兄からは「死ね」とギアスを掛けられ、イレヴンという立場で仲間を失いながらも、仲間との出会いによって少しずつ心を開き始めていきます。そして、本来の思いやりのある人格を取り戻していくのです。

兄と再開し、兄を愛していることを思い出し、絶望に狂った兄を救いたいと思うようになったアキトは、そのために兄と戦います。

そして兄のシンもまた、やり方は違えど弟のアキトを救おうをしていました。最後には弟がこの世界で愛されていることを知り、2人はようやく理解し合うことができました。

アキトは唯一の肉親である兄も亡くしてしまったわけですが、最終的には多くの「家族」を築き、愛しき者たちと暮らし始めます。

「反逆のルルーシュ」でルルーシュは、「国とは何か?」と色々な人に問いました。

「亡国のアキト」とは、そのルルーシュへの1つの回答だったのではないかと思います。

スザクは心と答え、カグヤは矜持と答えました。

アキトにとっての国とは、恐らく「愛しき者たち」。血の繋がりや人種、性別、年齢に関係なく愛しき者たちと一緒に暮らすその場所が、国を亡くしたアキトにとっての国なのでしょう。

全章を見てそう解釈できるストーリーは凄く綺麗にまとまっていたのかなと思いますね。

本編を超える戦闘シーン

「亡国のアキト」の最大の魅力は、CGをフルに駆使したKMFの戦闘シーン。立体的な臨場感に溢れたCGによる戦闘は圧巻で、見ていて物凄くワクワクしました!

ロボットアニメといえばやっぱりロボットの戦闘シーンが大切。「亡国のアキト」の戦闘シーンは、スピード感も動きのカッコよさもあって男ゴコロをくすぐる面白さがあります!

単純なタイマンの戦闘シーンに関しては、本編を超える面白さだったと思います。

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「コードギアス 亡国のアキト」の解説・考察【ネタバレ注意】

ハッピーエンド?を迎えた「亡国のアキト」ですが、色々と気になる設定や分かりにくいポイントがあるので解説していきますね。

レイラのギアスはどんな能力だったのか?


レイラのギアスは、発現までの猶予期間が与えられていた影響で、不完全なギアスです。時空の管理者いわく「ギアスの欠片」とのこと。

ギアスの色は通常赤ですが、レイラの場合は青。そして、その能力も普通のギアスとは異なっています。

ギアスの欠片の能力は、他者の精神との感応、他者との意思疎通、他者同士の意思を繋げる、といった精神感応系です。

これは他者に何かを強制させる能力ではなく、他者が本来持っている思いを引き出す、他者同士の思いを共有する、というものです。

作中では、BRSにも影響を与えてアレクサンダに搭乗していたリョウ、ユキヤ、アヤノ、アシュレイ、ハメルの5人は離れた場所のアキトの様子を見ていました。

正確な能力や条件は明らかにされていませんが、「人の可能性を信じる」というレイラの本質に沿ったものであると考えられます。

レイラの能力に関して気になるのは以下の3つ。

・シンが正気に戻ったのはレイラの能力か?

・最終章で司令室の時間が巻き戻ったのはレイラの能力か?

・シンのギアスが効かなかったのはレイラの能力か?

シンが正気に戻ったのはレイラの能力か?


最後、シンとアキトが対峙する場面では、レイラのギアスが発動していました。

アキトを殺そうと斬りかかった時、シンは多くの人の幻影を見ます。しかしそれは今までの死を誘うような亡霊ではなく、暖かで優しく、自分の間違いを諭しアキトを守るような亡霊でした。

これはあくまでも想像ですが、ここの亡霊は、レイラのギアスの能力によるものだと思います。生死を問わず色んな人がシンに「思い」を伝えていました。

それでもシンは幻影を振り払ってアキトを殺そうとしますが、間にジャンが入り、ジャンはシンを撃ちます。

この致命傷によってギアスの暴走が収まり、ようやくシンにも、レイラのギアスが伝わります。

アキトは、幼少期確かに兄が自分を愛してくれていたこと、愛していたからこそ「死ね」というギアスを掛けたことを理解しました。

そしてシンも、弟を愛していたことを思い出します。

シンは、弟を愛していたからこそ「狂った世界で無垢なアキトが苦しむことに耐えられない」と思い、アキトを救うために殺そうとしていわけです。

でも死の間際、アキトがこの世界で多くの人から愛されていることを理解しました。

自分が愛する弟は、この世界で多くの人に愛されている。

だからアキトにこの世界で生きるように告げ、本来のシンに戻ることができたのです。

もし、レイラのギアスが、生死を問わず人の思いを感じることができる、誰かに伝えることができるのであれば、今までのギアスの範疇を超えた能力と言えるでしょう。

だからこそ、時空の管理者に接触できたのだと思います。

最終章で司令室の時間が巻き戻ったのはレイラの能力か?

最終章では、wZEROの司令室に突入され、その場にいたレイラ以外の全員が射殺されてしまいます。

そこでレイラのギアスが青く輝き、亡き父と母に出会い、シンの過去を見て、時空の管理者と出会います。

レイラが気づくと、そこは数分前の司令室で時間が巻き戻った状態で静止していました。

時空の管理者は、人の可能性を信じるレイラに可能性を感じ、歪んだギアスを持ったシンをレイラが止めることに期待し、去って行きます。

時間を巻き戻したのがレイラか時空の管理者か微妙なシーンですが、時間を巻き戻したのは恐らく時空の管理者です。

この時、場所は司令室でしたが時間が静止しているような空間でした。

時空の管理者がスマイラスに接触した際、同じ様に時間が静止した空間になっていたことを考えると、時空の管理者が巻き戻したと考えられますね。

レイラが時空の管理者と接する機会を得られたのは、そのギアスの欠片があったから。

死んだはずの父や母と過去で会ったり、シンの過去を見たり、生死を問わず人の思いを届けたりできる能力は、もはや人の生死や時間を超越しています。

最強のギアスと言えるかもしれません。

しかし、レイラのギアスの本質は「人の可能性を信じる」というところから来ています。

最強クラスのギアスでありながら、それが「人の可能性を信じる」というレイラの本質から来ているというのは、時空の管理者にとっては凄く興味深いものだったのでしょう。

だから時空の管理者はレイラに可能性を感じ、時間を巻き戻したのではないでしょうか。

シンのギアスの能力とは?なぜシンのギアスがアキトやレイラに効かなかったのか?

シンのギアスは、「愛する者にのみ死を命令することができる」というギアスです。

この命令に関しては、ある程度状況を操作できるようで、作中では、自殺だけでなく対象者同士の心中なども命令していました。

このギアスは、「愛する人を狂った世界から救済したい」という願いが、救済=死という歪んだ形で発現したギアスです。つまり、シンにとっての死は救済ということなのです。

それを踏まえた上でシンの行動を見ていくと、いかにシンがアキトを愛していたのかが分かりますね。

ギアスは、コードを持つ者(C.C.やV.V.)と契約することで与えられる、というのが今までの設定でした。ところがシンに関してはそこが曖昧になっています。

父を斬り殺した後、ギアスの紋章が浮かんだ髑髏と契約していましたが、あの髑髏が実在したものなのか、シンの精神イメージなのか不明です。

日向家の一族はギアスと関わりの深い一族だと考えられます。父がギアス能力者であり、命を奪うことでギアスが発現するという条件があるのか、一族に代々伝わるあの謎の絵がギアス発現の何らかの条件になるのかもしれません。

死の命令が効くのはシンが愛しており「死」の概念を理解している者だけです。

アキトが「死ね」とギアスを掛けられたのに死ななかったのは、幼すぎて「死ぬ」という概念を理解できなかったためです。

ですが、このギアスによってアキトの人格に悪影響を及ぼすこととなり、アキトは「死ね!」と連呼しながら死ぬ可能性の高い戦場に身を置くことになります。

レイラにギアスが効かなかったのは、シンがレイラのことを愛していなかったからです。

ただ、シンがギアスで命令した際、レイラもギアスが発動しているんですよね。直後、シンは左目を抑えて苦しみます。

命令が効かなかっただけでこの反応を起こすとは思えないので、恐らくレイラのギアスによって、レイラの「人の可能性を信じる」という思いがシンの中に侵入しかけたのだと解釈します。

シンにとってそれは絶対に認められないし受け付けられない思いです。だから強烈な拒絶反応を起こしたと推測できますね。

BRS(ブレインレイドシステム)とは?

BRSとは、パイロットの意識を「ニューロデバイス(操縦者に埋め込まれた思考を数値化して機体に入力する装置)」を通して拡張・同調させることでパイロット同士の知覚情報を共有させ、より戦場を正確に把握することができるシステムです。

ですが、BRSは戦闘用のシステムではなく、「人と人との脳波動が繋がりお互いを理解し合えるようにすること」が本来の目的であるとランドル博士は語っています。

BRSのゴールは、レイラのギアスと言えるかもしれませんね。

作中でBRSは、アキトのシンにかけられたギアスの影響や、シンのギアス、レイラのギアスと相乗効果を生み出し、同調した味方の操作、現実世界からの消失、他の場所にいる他者の視認など、超常的な現象を引き起こします。

ギアスの影響があるとはいえ、破格のテクノロジーと言えるでしょう。

時空の管理者とは?スマイラスとの関係は?

時空の管理者は、意識の集合体です。集合無意識である「Cの世界」とは対照的な存在だと思われます。

「Cの世界」とは違い、時空の管理者には実体・存在(のようなもの)があり、人との会話や空間・時間への干渉も可能です。

実は人間の遺伝子にギアスを組み込んだ張本人

希望を込めてギアスを人間に授けたものの、多くの人間がそれを私利私欲やエゴに使ってしまうため、人間に失望し、ギアス能力者を排除していました。

しかし、時空の管理者は直接人を殺すことができないようで、一部の人間に接触して間接的に排除している模様。

そして、その一部の人間こそがスマイラスです。

スマイラスは、レイラの実父・ブラドーとは親友でありましたが、裏ではその人気に嫉妬しており、さらにレイラの実母・クラウディアに横恋慕していました。

スマイラスは自身の立場を利用し、時空の管理者にブラドーがギアス能力者であると吹き込み、間接的に殺害。

時空の管理者がスマイラスに「謀った」と言っていたのはこの件のことです。

時空の管理者は、コードギアスという作品の中で最もコードとギアスに関わりがある存在です。

ギアスの謎を追求した先にいる存在であることは間違いありませんね。

ユーロピア共和国連合(E.U.)のその後

アキトやレイラ達はその後、ワルシャワで会った老婆たちと一緒に暮らし、幸せな生活を手に入れることができました。

しかし気になるのはE.U.のその後。

「R2」ではE.U.のその後について言及があり、ドイツ州軍やイタリア州軍を中心としたE.U.軍主力がブリタニアと戦争を行っていました。

ところが、ランスロットの介入による戦局の逆転やシュナイゼルの政治的手腕によって領土が削られ続け、「R2」終盤では既に領土の大半をブリタニアに奪われています

超合集国設立後は、イタリアやポーランドといったE.U.加盟国や自治州の大部分がE.U.を見限り、超合集国に参加。これによってE.U.は崩壊状態となります。

後の世界情勢の変動にも名前が挙がることはなく、事実上E.U.は消滅という最後を遂げます。

仮にアキトやレイラ達があのまま軍に所属していたとしても、wZEROは少数精鋭というだけでブリタニアとの戦力差を埋めるほどの力はありません。ブリタニアの圧倒的な戦力の前には恐らく同じ歴史を辿ることになったと思います。

「亡国のアキト」の時点ですでにE.U.は腐敗していましたから、アキトやレイラ達が自らの幸せを選んだのは理に適っていたと言えますね。

ルルーシュが水を求めていた理由

赤根監督は、記憶の喪失と乾きが重なって幼い日の夏の思い出が蘇っているのかもしれない、といった主旨の発言をされています。

実際に喉が渇いて水が欲しかったというよりは、幼少期にスザクと過ごした幸せな時間や、書き換えられた記憶、ルルーシュの人格への渇望を満たすために水を欲しがったのでしょう。

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おわりに

「コードギアス 亡国のアキト」の評価、解説・考察、感想をまとめ、ご紹介しました。

スピンオフの作品とはいえ、作品の完成度は非常に高く、見応えのある作品だったと思います。考察して楽しめるポイントがいくつかあったのも個人的には◎ですね。

まだ見てないって人には見る価値がある作品とおすすめできる作品ですし、もう見たって人がもう1周見ても楽しめる作品です。

「亡国のアキト」、良きでした!

反逆のルルーシュも↑の記事でレビューしているので、よければそちらもどうぞ。

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