「甲鉄城のカバネリ」の評価と感想!このアニメの魅力と物語を徹底解明【ネタバレ有】

アニメ版「進撃の巨人」の制作で知られるWIT STUDIOによって圧倒的な世界観で描かれた「甲鉄城のカバネリ」

ギルティクラウンや進撃の巨人の監督を務めた荒木哲郎さん、

プラネテス・交響詩篇エウレカセブン・コードギアス反逆のルルーシュなどのシリーズ構成と脚本に携わった大河内一楼さん、

超時空要塞マクロス・機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争などのキャラクター原案を担当された美樹本晴彦さん、

などなど豪華なスタッフが集結した甲鉄城のカバネリは、放送前から放送後まで話題となった注目のアニメでしたね。

実はボク自身、最近ようやく見ました。ちょっと遅かったかな…。

その感想について今回色々と語っていきますが、

ネタバレのない範囲で評価や感想知りたい人は、記事の前半部分をチェックしてみてください。これから見る人や見ようか迷っている人向けに、カバネリの魅力をお話ししてます。

で、見終わった人は記事の後半をどうぞ。

がっつり核心に触れて、カバネリという作品を読み解きつつ、感想を語ってます。一緒に感想を共有できればと思います!

<この記事は約5分で読める!>

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15秒で分かる「甲鉄城のカバネリ」のあらすじ

世界中に産業革命の波が押し寄せ、時代が移り変わろうとしていた矢先、突如として不死の怪物が出現する。

噛んだ人間を感染させ同族に変える怪物「カバネ」は、爆発的に数を増やし全世界を覆い尽くした。

極東の島国・日ノ本では、人間たちは「駅」と呼ばれる砦に身を隠し、駿城という分厚い装甲に覆われた蒸気機関車で駅を往来していた。これによってなんとか生活を保っていたのだ。

カバネに妹を殺された過去を持つ少年・生駒は、蒸気鍛冶や製鉄などの重工業が盛んな「顕金駅」で暮らし、密かに対カバネ武器・ツラヌキ筒やカバネウイルスの脳への侵食を止める器具などを開発・研究していた。

ある日、謎の少女・無名を乗せた駿城「甲鉄城」が顕金駅に立ち寄る。さらに同日、カバネに乗っ取られた別の駿城が突入してきたことで、顕金駅はカバネの地獄へと変わる。生駒は、ツラヌキ筒でカバネを倒すことに成功するも、噛まれてしまった腕からウイルスが体内に広がり…。

「甲鉄城のカバネリ」の評価

アニメ甲鉄城のカバネリ評価

※個人の評価です

世界観&設定、作品としての質に関しては、かなりハイレベルだと感じてます。

総合的な評価では70点としましたが、続編映画の「甲鉄城のカバネリ~海門決戦~」次第ではもう少し上がるかもです。

この評価になった理由は、後述で解説していきますね。

ボク的には、甲鉄城のカバネリの魅力はサクッとまとめると3つあると思います。

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甲鉄城のカバネリの魅力はこの3つ!

魅力①:3分で惹き込まれる和風ゾンビワールドの世界観

まだカバネリを見てない人は、とりあえず3分だけでも第1話を見てみてください。その3分だけでカバネリの世界観に惹き込まれます。

噛んだ人間を感染させ同族に変える怪物・カバネに覆い尽くされた極東の島国・日ノ本を舞台に、駅と呼ばれる砦を蒸気機関車で往来しながら生き延びていく世界観。

カバネだらけのゾンビワールドで、どうやって生き残るのか?

そんなヒリヒリ感を味わいながら物語を楽しめますよ!

魅力②:上質なアニメーションで動きまくるアクション

このアニメは、とにかくアニメーションの質が高い

蒸気機関車やキャラクターの作画が緻密で美しく、その上質なアニメーションを土台に描かれるバトルアクションはめちゃくちゃ見応えがあります。

特に第2話のアクションシーンは、おすすめの名シーンですね!

魅力③:「カバネ」とは?という根源的な謎

ソンビものといえば、やっぱりゾンビはどこから来たのか?その黒幕や謎が物語の重要なキーですよね。

カバネリも、「カバネ」とは?どこから来たのか?黒幕はいるのか?様々な謎に包まれています。

その謎を考察しながら見進めていくというのも1つ面白い楽しみ方ですね!

【ネタバレ注意】甲鉄城のカバネリの感想

ここからは結末や物語の核心に触れていきます。
ネタバレ注意です。

で、あくまで個人の感想なので、その点も注意しつつ読み進めてもらえればと思います。

なぜ最終話を見終わった後にモヤモヤ感が残ってしまったのか?

カバネリを見終わった「超面白かったな~!」ってスッキリ大満足した人ももちろんいると思うんですけど、正直モヤモヤ感が残ったって人も多いと思います。

その理由は、世界観のわりに1クールなのが短すぎた、美馬の行動が意味不明、肝心のカバネが美馬の道具扱い、などなど色々ありますが…

でもやっぱり美馬の存在が良くも悪くも「甲鉄城のカバネリ」の評価を歪めてしまったなというのが正直な感想です。

7話までは、人間vsカバネで進んでいき、その狭間にいる生駒や無名の葛藤も上手く描かれていました。

そして7話で生駒は、「この世界からカバネを滅ぼすこと」「無名を人間に戻すこと」という2つを決意します。

生駒自身、逞生(たくみ)とともにカバネの研究をしていた人物ですから、↑の2つを可能にするスタート地点には立っています。

だからこそ、こっからカバネの謎が本格的に物語に絡んでくる。そんな予感をさせました。

カバネ研究の最先端である金剛郭に向かうのも、作品的に重要な意味がありました。

ところが急に美馬

美馬によって話はどんどんカバネから脱線していきます。この点はマイナスでしたし、モヤモヤ感を残させる大きな原因でした。

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「美馬」という人物の本質を読み解くとこのアニメの評価が増す

美馬の存在がこのアニメへの評価とストーリーを歪めてしまったわけですが、一方で、美馬という人物を読み解いていくことで、ストーリーへの評価は少し良くなると思います。

まず「天鳥 美馬」という人物の本質を一言で言えば、「強さ」を下から見上げていた人と考えられます。

美馬は幼少期、一時的に狂乱した父・天鳥 興匡から出血するほどの傷を負わされます。

それまでの興匡は、幼い美馬と乗馬を楽しむ回想があったことや、小刀を美馬に贈っていたことを考えると、良き父としての一面も確かにありました。

しかし、将軍の座を争う日々によって興匡はどこかで狂ってしまった。

幼い頃の美馬は、父に対して愛情を感じていたと思います。ところがそんな父から傷を負わされた。

これは当時の美馬からすれば尋常じゃないショックだったでしょう。

しかも当の興匡はそれを自分がやったと認めず「恐怖」のせいにした。

そんな情けない父を美馬は凄く軽蔑した。大好きな父が小さく弱く見えたでしょうね。

さらに、12歳の美馬は、指揮下の軍ごとカバネのだらけの場所で意図的に孤立させられ死にかけます。

そしておそらく美馬は、息子からの報復を恐れた父がそれを画策したのではないかと考えいていた。結果、10年前の件に関わった倭文駅の主から情報を聞き出し、「あぁやっぱりな」と確信を得た。

だから以前から準備していた計画を実行に移した。

では、なぜ美馬はあれだけ「強さ」にこだわり、駅という壁を壊したのか?

美馬が強さにこだわったのは、自身を裏切った臆病者が憎かったから。臆病者というのは父のことでもあり、臆病な人間全員のことでもあります。

美馬は過去の体験から、弱く臆病な人間を恨むようになった。そして、父のような弱く臆病者な人間には絶対になりたくないという思いで強さを求めたと推察できます。

この信念が、駅を壊して金剛郭を地獄へと変えた行動にも繋がります。

なぜ美馬が悪魔のような行いをしたのか。それは、自分が強者になりたかったからです。

駅を壊すことで、必然的に人間はカバネと戦わなければ生き残れなくなります。つまり、弱い者は死んで強い者だけが生き残る。残酷だけど、凄くシンプルな世界になるんですよね。

すると、弱い臆病者がこの世界からいなくなり、強者だけが生き残り世界となります。カバネに対して連戦連勝の美馬は、当然強者になるという図式です。

美馬はただ狂った狂人ではなく、一応彼なりに信念と行動原理があったわけですね。

で、美馬の気になる行動といえば、生駒との最終決戦。

別に戦わなくてもいいのになぜ生駒と自ら戦うことにしたのか?なぜ「見つけたか…臆病者を」と言ったのか?なぜ生駒に白血漿を撃ち込んだのか?

美馬が生駒とわざわざ戦った理由は、自分が強者であると証明したかったからでしょう。

美馬は生駒と刃を交える前、こう言っています。

「ずっと待っていた…恐れを知らぬ魂に。私は今こそ、それを狩る」

つまり、立場や力が上の存在にも立ち向かう生駒を「強い」と認め、強い生駒を倒すことで自分が強者であると証明したかったんですね。

ところが、黒血漿を打った生駒は美馬を圧倒します。おそらくあのまま真っ向から戦えば美馬は生駒に殺されていたでしょう。

でもギリギリのタイミングで生駒の視力が暗闇に閉ざされてしまう。

そっからの美馬は情けないくらい臆病者でしたよね。

生駒の背後にそろりそろりと近寄っていく様子は笑ってしまうくらい情けなかった。

結果、無名が緑の石を水面に落とした音によって生駒は振り返り、美馬の左手を吹っ飛ばした。

「見つけたか…臆病者を」

このセリフにはどこか「結局自分も臆病者だったのか…」というニュアンスが込められているように感じました。

生駒に左手を吹っ飛ばされてから倒れるまでのシーンを見ると、「自分は『強さ』を下から見上げていただけだった」と気づき呆然としているようにも見えます。

でもそれは美馬にとって到底受け入れられない事実です。美馬の今までを全て台無しにしてしまう事実だからです。

だからこそ、初めて美馬のポーカーフェイスが崩れた。

自分も臆病者だったという事実を否定するために、再度生駒との決着を望んだ。白血漿を生駒に撃ち込んだのは、自分が勝つためだったんでしょう。そして、生駒の「強さ」を自分の位置まで落としたかった。

つまり、美馬という人物は「強さ」を下から見上げていただけだけの臆病者だったというわけですね。

敵キャラとしてはかなり異質でした。

美馬と生駒は、「カバネに対して逃げ隠れしてるだけではダメだ」という部分では同じ考えを持ってます。

でも、本質は全く違う。

生駒は「恐怖で人としての品性まで失っちゃいけない」という信念を持ってます。人が本来持っている良い面を恐怖で失っちゃいけないと。逆にいえば、人間に対してポジティブな面を見ているわけです。

一方、美馬は「人間は臆病な生き物だ」と人間に対してネガティブな面を見ています。

こうやって読み解いていくと主人公・生駒と敵・美馬の対比はよく描かれていたと思います。

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「カバネ」の根源に迫る伏線が無かったのは残念

美馬という悪役の本質を読み解くと、ボク的にはあの展開はアリだったと感じましたね。ヒロインである無名がこれで本当に甲鉄城に合流できましたし、無名自身も穂積として再出発できます。

ただ、「甲鉄城のカバネリ」という作品から考えると、カバネ研究の最先端である金剛郭でカバネの謎に繋がる情報が得られなかったのはやっぱ残念です。

もう少しその辺りの伏線が欲しかったですね。

「和風ダークファンタジー × ゾンビアクション」の世界観は抜群に面白い

さてさて、ストーリーの展開や美馬にスポットライトを当てて読み解きましたけど、なんだかんだこの世界観はめっちゃ好きです。

・時代劇
・ゾンビ
・ダークファンタジー
・蒸気機関車を取り入れたスチームパンク
・バトルアクション

特に第1話はこの要素がたっぷり凝縮されていて、1話目にして神回でした!

第1話は蒸気機関車の中から始まり、開始わずか1分で、女性がカバネに髪を掴まれ頭皮が剥がれる残酷なシーンが描写されます。

さらに、応戦していた男の1人がカバネに噛まれて感染し、さっきまで共闘していた仲間たちがその男に自害を強要するシーンが続き、その男は「母さん…」と涙ながらに呟き、心臓を吹っ飛ばして自害します。

これがたった冒頭3分で描かれます。

この3分に「甲鉄城のカバネリ」の世界観が凝縮されてました。この3分で圧倒されましたね。

そんな地獄のような世界観で、無名は美しくカッコ良く舞います。このギャップも凄く良い。

映画版バイオハザードでミラ・ジョヴォヴィッチが演じたアリスを彷彿させる、醜さの中で光る美しさとカッコ良さを感じました。

上質なアニメーションで描かれるゾンビアクション。カバネだらけのダークな世界観と合わせて、凄く見応えがあったと思います。

質の高いアニメーションは心を踊らせてくれた

タイトルに甲鉄城と付くだけあって、蒸気機関車の作画がハンパじゃない。そして、無名や菖蒲様の作画も、ただただ美しかった。

アニメーションとしては、映画並みに質の高いものだったと思います。

ボク的に凄く気に入ってるシーンが、生駒がカバネ化を自分で抑え込むシーン。

進撃の巨人でもあった鬼気迫るような表情とBGM、生駒の信念が組み合わさった傑出したシーンで、それとほぼ同時に無名の回し蹴りのシーンも描いてました。ここはほんとに全話通してもNo.1の名シーンでしたね。

ほんとに質の高いアニメーションに心が踊りました。

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カバネリの総評・感想まとめ

ストーリーに関しては美馬の登場で少し惜しい感じになってましたけど、世界観やアニメーションに関しては、別格の高評価ですね。

甲鉄城のカバネリは、実質的な2期にあたる続編映画「甲鉄城のカバネリ~海門決戦~」が2019年5月10日に2週間限定で放映されます。

海門駅を巡る戦いを描いた物語になるそうですが、この海門の地に隠された「ある秘密」とやらが今回の映画のキーになるでしょう。

甲鉄城のカバネリ1期だけでみると評価自体はそこまで高くないですが、続編映画のストーリー次第では、かなり化ける可能性を秘めてます。

今後もますます注目のアニメなので、これからも追っていきたいと思います!

【追記】「甲鉄城のカバネリ 海門決戦」の感想・評価の記事にてレビューしました。良ければそちらもどうぞ。

 

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