1996年から1997年にかけて放送された「機動戦艦ナデシコ」は、SF・ロボットアニメの中でもとても人気の高い作品です。
にもかかわらず…ボクは最近まで敬遠していました。
というのも、平成生まれのボクにとっては単純に古くて手が出しにくかったのと、第1話だけ見てあの古典的なノリについていけなかったからです。
で、たまたまOP曲の「YOU GET TO BURNING」が好きになったことをきっかけに、とうとう見始めました。
そして、「なんで今まで遠ざけてたんだ…」と後悔するほどの傑作だと感じましたね。いや、ほんと損してた。
ってな感じで、今回は「機動戦艦ナデシコ」のアニメ&劇場版の感想や評価について語っていきたいと思います!
前半はネタバレなしで書いていくので、まだ見てない人や見ようか迷っている人もOKです。
<この記事は約3分で読める!>
「機動戦艦ナデシコ」アニメ&劇場版の評価
ボクの中ではトータル的に凄く高い評価です。特に、世界観&設定に関しては満点の魅力がありました!
SFが好きな人ならワクワクすること間違いないです。特に続編の劇場版は、傑作オブ傑作ですね。
「機動戦艦ナデシコ」の見所・魅力は?2つの大きなポイント
「機動戦艦ナデシコ」アニメ+劇場版視聴。
2000年代後半以降のアニメに慣れてると、古典的なノリに少し肌寒さを感じてしまうけど、アニメーションの良さみたいなものがギュッと詰め込まれてて凄く好き。
ゆるいノリと深いSFの世界観のギャップにやられた…— 開拓ぽんず (@kaitakuponzu) 2019年5月2日
魅力①:ゆる~いラブコメと骨太なSFのギャップ
機動戦艦ナデシコというタイトル通り、戦艦を舞台にした作品ではあるものの、中身はかなりゆる~いラブコメです。古典的でベタな学園ラブコメをナデシコという戦艦に持ち込んだというイメージですね。
でも世界観や設定は、重厚で深いSFが満載なんです。
この落差・ギャップは他のアニメにはない魅力で、ふざけてるんだか真面目にやってんだかよく分からないところが逆にユニークな面白さに繋がってると思います。
ラブコメもSFも好きな人にはたまんないっすね。
魅力②:熱と勢いと意外性に溢れたストーリー
機動戦艦ナデシコは、とにかくテンポ良くストーリーが進んでいきます。ベタで王道な展開を踏襲しながらも、きちんと想像を裏切ってくる意外性もあり、とても楽しめるストーリーになってます。
登場するキャラクターが個性的で魅力のあるキャラばかりなのも後押しして、熱量と勢いの良さをガシガシ感じる作品だと思いますね。
まぁ単純に言うと、めっちゃ面白いアニメです…!
【ネタバレ注意】アニメ「機動戦艦ナデシコ」の感想
では、ここからはがっつり結末に触れてネタバレ有りで感想を語ります!まだ本編を見てない人は注意ですよ?
機動戦艦ナデシコに魅了された理由
機動戦艦ナデシコを見始めた当初の印象は、SFロボットアニメの皮を被ったラブコメ、というものでした。
第1話の展開自体は、「戦艦の出航」という宇宙戦艦ヤマトやマクロスのような王道路線。ところが、クルーたちのゆるい空気感やノリは、古典的な学園青春ラブコメのような感じで、良くも悪くも意外性がありました。
ナデシコは、人類を守る正義の味方として木星蜥蜴と戦っていきます。その中で、仲間の死や残酷な選択を迫られる場面などシビアな展開も見せますが、やっぱり独特なゆるいノリで物語が進んでいきます。
ボクは正直、古典的なただのラブコメにはあまり興味を引かれないんですが、でもなぜか続きが気になって仕方なくなるんです。
「機動戦艦ナデシコ」って作品は、SFロボットアニメの皮を被ったラブコメ…ではなく、全く違うSFとラブコメ要素を見事に共存させてるからなんですよね。
ナデシコ内にフォーカスされて話が進んでいくんで、比較的ストーリーはコミカルに描かれることが多いんですが、
ナデシコの外に飛び出て世界の状況を見てみると、木星蜥蜴との戦争真っ只中であることを思い出させてくれます。
中盤以降は、木星側は実はかつて追放された人類だということが明かされてからは、ゲキ・カンガー3のように単純な正義vs悪の戦いではなくなっていく点もグッと面白くなるポイント。
そして、この戦争のカギとなる「古代火星文明」や「ボソンジャンプ」といったSF要素が、より骨太な世界観を構築してるように思います。
このナデシコ内のお気楽な空気感とナデシコ外の深刻かつ複雑な世界観のギャップが、やっぱり最大の魅力なんですよね。
しかも、1歩間違えるとラブコメもSFも台無しにしかねないギリギリを攻めてるような遊び心みたいなのも感じて、他のアニメとは全く違う唯一無二の面白さがありました。このバランス感覚も凄い。
で、肝心のストーリーの方も、視聴者がぼんやりと思い描いていたストーリーを良い意味で裏切ってくれます。アイちゃん=イネス、というサプライズにはめちゃくちゃ驚きましたし、じーんとくる感動もありましたよね~…。
機動戦艦ナデシコって、ベタベタの王道をやりつつも、視聴者を楽しませてくれる意外性・サプライズもたんまり用意されてるんですよね。
意外性があってそれが感情を動かすようなサプライズであれば、心や記憶に残りやすくなります。
機動戦艦ナデシコというアニメが持つ意外性・ギャップはまさにそれで、だからこそ長年絶大な人気を誇り、未だに続編が希望されてるんだと思います。
アニメ史に残る傑作ですね。
男ゴコロをくすぐるSF関連の世界観・設定
男という生き物は、カッコいいロボットや最先端のテクノロジーにワクワクする生き物です(断言)。
機動戦艦ナデシコは、SF関連の設定に関しては圧倒的なボリュームを誇ります。正直、26話ってめちゃくちゃ少ないくらい。
でもだから余計に、話の合間にちょこっと出てくる歴史だったりテクノロジーだったりが、良い具合にSF要素を妄想させてくれるんですよね。行間から伝わってくる機動戦艦ナデシコの世界観がほんとに楽しいんです。
その男ゴコロをくすぐる世界観・設定を見事に取り上げてくれたのが続編の劇場版「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」でした。
【ネタバレ注意】劇場版「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」の感想
戦争終結から3年後、ルリを主人公に描かれた「劇ナデ」ですが、アニメ版のコミカルな雰囲気とは一変し、シリアスで重厚なストーリーへと路線を変えています。
まず驚いたのは作画のクオリティですね…。
キャラクターはもちろん、エステバリスやナデシコ、各種テクノロジーの作画がとにかく凄い。もうそれだけで鳥肌でしたね!
アキトとユリカが過酷…
劇ナデを語る上で欠かせないのは、やっぱりアキトとユリカ。
単独で長距離ジャンプが可能な数少ないA級ジャンパーであるがゆえに、その力を狙われた2人。アキトは人体実験によって五感に障害を抱え、ユリカは火星の演算ユニットに組み込まれて非道な扱いを受けていました。
アキトは復讐鬼となり、ダークでシリアスなキャラクターに。専用機ブラックサレナを操り、火星の後継者と戦い続ける。
劇場版だけでは、空白の3年間に何があったのか?は断片的にしか語られてませんが、それだけでもアキトとユリカの身に起きたことは過酷という言葉すらも軽いほどの悲劇です。
キスシーンで終わりを迎えたアニメから、いきなり2人が死亡したという冒頭には驚きで、実は生きていた…けど過酷な体験をしていて…というのはさらに驚きでした。
墓地でルリに「生きた証」として「テンカワ特製ラーメン」のレシピを渡したあのシーンなんか、心が痛くなるくらい、火星の後継者に憎しみを覚えるくらい感情を揺さぶられました…。
ブラックサレナ最終戦闘からのエンディングに震えた
アキトvs北辰の最終決戦。ブラックサレナが勝利したあのシーン。
ブラックサレナがパージして中からアキトのエステバリスが現れた時は、体は鳥肌で心は涙ですよ…もうあれはずるいって…。
アニメ版でのストーリーと、アキトやユリカの空白の3年間、劇ナデからのストーリーが全部あそこに集約されて、ブラックサレナがパージした瞬間に一気に昇華されました。
なんかもう心か魂が一瞬浮いたんじゃないかってくらい気持ち良かったですね~。アニメ史上でもトップクラスの名シーンじゃないですか?
ユリカも無事救出され一件落着かと思いきや、アキトはかつての仲間たちに顔を見せることなくどこかへ去って行きました。
正直、アキトが黙って去っていくエンドは少し悲しさと寂しさを感じました。アキトとユリカが揃って大団円じゃないなんてっていう…。
ボク的には、ブラックサレナのパージで「機動戦艦ナデシコ」という1つの作品は99%昇華して満足できました。
でもちゃんとアキトとユリカが揃って終わるエンディングじゃないのは、1%の心残りがあるんですよね。だからアキトが帰ってくるの=続編を待ち続けなくちゃいけないエンディングってある意味残酷だと思うんです。
とはいえ、劇ナデはほんとに最高の作品でした。多分これから何年もリピートするでしょうね…。
「機動戦艦ナデシコ」の総評・感想まとめ
改めてアニメ&劇場版をひっくるめた評価をまとめると以下になります。
機動戦艦ナデシコは、控えめに言っても名作・傑作と言えるアニメだったと思います。間違いなく心と記憶に残る作品ですね~…。
単純に作品として楽しめる面白いものだったのは当然として、制作陣の熱意や遊び心のような面白さも感じて、とても体温のある作品だったという印象を受けました。
作画が綺麗だったりアクションシーンがド派手だったりする作品は多いですが、作品全体から熱や体温を感じるアニメってあんまり出会えない。
機動戦艦ナデシコという素晴らしいアニメを制作された方々、この作品に出会わせてくれた全ての方々に感謝ですね!