原作のラノベはシリーズ累計100万部を超え、2003年にアニメ化した「スクラップド・プリンセス」。
廃棄され命を狙われ続ける王女・パシフィカ。そんな彼女を守る兄と姉との逃避行を描いたファンタジーアニメで、全24話です。
世界中の人々から忌み嫌われ命を狙われ続けるというシビアな境遇でありながら、当人たちは意外と明るくて、過酷なストーリーにハラハラしつつもクスッと笑える作品となってます。
今回は、そんな「スクラップド・プリンセス」のボク的評価、感想などを語っていきます。前半はネタバレなしなので、すてプリを見ようか迷ってる人も安心して見てくださいね。
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アニメ「スクラップド・プリンセス」の評価は?
「スクラップド・プリンセス」は、16歳の誕生日に世界を滅ぼす猛毒になるという主人公・パシフィカの設定や、ファンタジーだけど秘密が隠された世界観が大きな魅力だと感じてます。
日に日に「16歳の誕生日」が迫る中、謎や秘密が次々に明らかになっていくストーリーも見所がありますね。
「スクラップド・プリンセス」はどこが面白い?見所や魅力を解説!
魅力①:謎に満ちた設定・世界観
世界を滅ぼすほどの強大な力を持つわけでもない少女が、なぜ16歳の日に世界を滅ぼす猛毒となるのか?
人智を超えた神にも等しい存在「ピースメーカー」までもがパシフィカを狙う理由とは?
そして、長年隠され続けたこの世界の秘密とは…?
スクラップド・プリンセスは、この謎に満ちた設定・世界観が大きな魅力です。
逃亡の旅の行先で少しずつこうした謎が明らかになっていきますが、後半ではよくある中世のファンタジーな世界観からガラッと世界観が変わるので注目!
魅力②:過酷でも明るいカスール三姉弟妹
スクラップド・プリンセスでは、主人公の少女「パシフィカ・カスール」と、義兄「シャノン・カスール」、義姉「ラクウェル・カスール」の3人を中心とした逃避行が描かれます。
暗殺者たちから命を狙われ続けるパシフィカは、世界中の人々から忌み嫌われる「廃棄王女」であるため、街の住人にも正体がバレるわけにはいかない。
パシフィカは何度も命を落としかけ、その度にシャノンやラクウェルは苦悩します。そしてパシフィカを原因で命を落とす人が出ると、パシフィカは自分を責め続けます。
悲痛な運命と過酷な状況。その旅路は苦しいものですが、3人のキャラクターは意外とコミカルです。
天真爛漫なパシフィカは、誰とでもすぐに打ち解け、持ち前の明るさで多くの人に良い影響を与えていきます。
義兄のシャノンは、ぶっきらぼうな性格。いつもパシフィカからひどい扱いを受けます。パシフィカからグーで殴られることが多い…。
義姉のラクウェルは、「あらあら?うふふ?」って感じの温和で天然なお姉さん。まさに癒し系で、逃避行という暗雲が漂う雰囲気を忘れさせてくれます。
このカスール家三姉弟妹のキャラクターが、シリアス一辺倒になりがちな状況を和ませてくれて、逃避行でありながらほっこりできる「すてプリ独特の空気感」を出してくれてます。
【ネタバレ有】アニメ「スクラップド・プリンセス」の感想
ではではここからはネタバレ有りで感想を語っていきます。
「スクラップド・プリンセス」視聴完了。
棄てられた王女という悲痛な立場で、世界の命運を握る過酷な運命を背負った少女・パシフィカ。それでも天真爛漫な彼女がすごく健気だった…
そんな彼女を守る兄と姉、逃避行の行き先で会った友人たちも親しみのあるキャラで◎。結末もほっとできる良作でした!— 開拓ぽんず (@kaitakuponzu) 2019年4月25日
すてプリの良かった点と悪かった点
良かった点
・廃棄王女の境遇、ファンタジーに見せかけたSFの世界観
・カスール三姉弟妹のほっこりするキャラクター
・ラノベ原作でありながらきっちり全24話で作品として完結
・パシフィカが報われたエンドに安堵した
悪かった点
・作画が乱れてるシーンがいくつかあった
・ピースメーカーとの決戦が意外にあっさりした結末だった
・5000年前の過去やSF部分の設定をもう少し掘り下げて欲しかった
ほっこり逃避行ファンタジーという独特の空気感は、他のアニメにはない特色だった
命を狙われ続ける上に世界中の人から迫害を受けかねない立場にあるパシフィカたち。
にもかかわらずほっこりするような逃避行ライフのギャップは、アンバランスかと思いきや、意外と良い空気感でした。馴染んでくると続きが見たくなる見たくなる。
パシフィカが一貫して「守られてるだけの普通の少女」というのが、逆にこのアニメの醍醐味だったと思います。
普通のかわいい15歳の少女なのになんで世界から憎まなければならないのか?その理不尽さと、そんな理不尽さがありながらも明るく優しいパシフィカの健気さが徹頭徹尾描かれていました。
もう終盤なんかずっと「頼むからパシフィカを殺さないでくれ、パシフィカ頼む生きてくれ」っていう心境でしたねw
ファンタジーものといえば、バトルアクション、ラブコメ、英雄譚といったストーリー展開が多く、主人公の成長や活躍に焦点が合ってるものが多いです。
ところが、すてプリではパシフィカの内面的な成長はあっても、プロヴィデンス・ブレイカーとして覚醒して世界を救う話ではない。もちろん竜機神を自分で操ることもない。
あくまでも、普通の少女。普通の少女がただ普通に生きるために生きるお話なんですよね。その普通って凄く大切だよねって話です。
過酷な境遇の姫が自分の力で世界に立ち向かう…。そのストーリーは、ギアット帝国第三皇女・セーネスが担ってました。
守られてるだけで自分の力で戦おうとしないパシフィカに、セーネスは当初苛立ってました。ところが、「それぞれの戦い方がある」というエイローテの言葉を受けて、少しずつパシフィカなりの戦い方を理解するようになっていきます。
パシフィカなりの戦い方とは、普通に楽しく生きること。パシフィカは、楽しく生きたい、みんなと普通に暮らしたい。そんなありふれた願いを持ったただの少女です。
だからこそ、そんなパシフィカのありふれた願いが叶えられない世界なんておかしい。その理不尽さの中で光る健気さこそ、スクラップド・プリンセスの最大の面白さだったと思いますね。
で、その理不尽さが解消されて「普通の暮らし」を手に入れたパシフィカの姿に、心の底から安堵しました…。うんうん。
この世界ってそんなに悪くないなっていうハッピーエンドで、希望を示してくれたエンディングは良かったなぁ。
シャノンとパシフィカの関係がグッジョブ!
義兄シャノンと義妹パシフィカ。個人的にこの2人の関係が好きでした。
兄に対してイラつくほど生意気なパシフィカは、良くも悪くもリアルな「妹」ってこんな感じなんだろうなぁって感じで、シャノンのぶっきらぼうな感じも兄っぽい。
口ではああだこうだ言い合う2人でも、ほんとはお互いかけがえのない存在で。
この兄妹愛ってのは他の作品にはあんまりないもので、ボクは一人っ子なんでちょっと羨ましさも感じました。
ピースメーカーとの決戦がかなりあっさりだったのは少し残念…
バトル・アクションはあくまでおまけなのでアレなんですけど、できればピースメーカーとの決戦はもう少し起伏があっても良かったのではないかと…。
戦闘シーンは凄く見応えがあったのに、意外とあっさり勝負がついてしまったのは「え、もう終わったん…??」って感じちゃいました。そこはちょっと残念ですね。
あと、SF関係の設定をもう少し深く楽しみたかった…というのはあります。が、あんまり詰め込みすぎるとパシフィカの軸からズレちゃうんで仕方ないかな。
アニメ「スクラップド・プリンセス」の総評・感想まとめ
というわけで改めてスクラップド・プリンセスの評価をお伝えすると、こんな感じ。
ありふれたファンタジー作品とは色の違う、世界の理不尽さと主人公の健気さを描いたアニメで、「この子が生きることすら許されない世界なんておかしい」「普通の女の子として生きられる結末で良かった」と思える作品で、感情移入できました。
ラノベ原作といえば中途半端なアニメ化のせいで1つの作品として見るとイマイチなものも少なくないんですけど、スクラップド・プリンセスはきっちり完結しています。しかも、全24話のストーリーも楽しめるものだったと思います。
細かい部分を言うと、作画面は少し怪しい部分はありました。ただ、それ以上に声優さんの配役や演技は輝いていて、シャノンの三木眞一郎さん、ラクウェルの大原さやかさんはドンピシャでした。この2人が兄と姉って最高すぎませんかね??
ボク個人の評価になりますが、良作と言える高評価です。2000年代は名だたるアニメが多い年代ですけど、すてプリは隠れた良作でした!